
ソーサリアンのMSX版は、当初は移植が難しいと言われていました。しかし、MSX-FAN誌での熱望を受けて、PC-88SR版Ver1.1をベースに移植が実現しました。移植にあたっては、MSXの特性を考慮しつつ、オリジナル版の魅力を損なわないよう慎重に開発が進められました。
移植の決定から完成までには約4ヶ月という短期間でしたが、開発者たちの努力により、MSXユーザーの期待に応える作品となりました。
MSX版ソーサリアンは、MSX2の性能を活かした仕様となっています。具体的には以下のような特徴があります:
これらの技術的特徴により、PC-88版やPC-98版とは異なる、MSX独自の魅力を持つ作品となりました。
ソーサリアン MSX版は、基本的にPC-88SR版Ver1.1をベースとしているため、ゲームシステムの多くは他機種版と共通しています。しかし、MSXの特性に合わせて一部調整が行われています。
主な特徴は以下の通りです:
MSXturboRの高速モードに対応しているため、より快適なプレイが可能です。ただし、MSX2では動作速度にやや問題があり、完全に快適とは言えない面もありました。
MSX版ソーサリアンには、PC版と同様に複数のシナリオが収録されています。中でも人気が高かったのは以下のシナリオです:
特に「消えた王様の杖」は、多くのプレイヤーが最初に挑戦するシナリオとして知られています。印象的なBGMと分かりやすい展開が、初心者にも親しみやすい内容となっています。
これらのシナリオは、MSX版でも美しいグラフィックとFM音源による豊かな音楽で楽しむことができ、多くのファンの心を捉えました。
MSX版ソーサリアンは、その魅力的なゲーム性で多くのファンを獲得しましたが、同時にいくつかのバグも存在しました。特に有名なのは、3人シナリオでNPCが仲間になる際に、キャラクターの表示が正常に行われないというものです。
このバグは、開発者自身も「消したい過去」と呼ぶほど印象的なものでした。しかし、こうしたバグの存在も、当時のゲーム開発の困難さを物語る一つのエピソードとして、今では懐かしく語られることもあります。
バグの修正に関しては、後にバージョンアップが行われ、一部の問題は解決されました。しかし、完全な修正には至らず、MSX版ソーサリアンの特徴の一つとして記憶に残っています。
ソーサリアンは様々な機種で発売されましたが、MSX版には独自の特徴があります。他機種版との主な違いは以下の通りです:
特徴 | MSX版 | PC-88版 | PC-98版 |
---|---|---|---|
画面解像度 | 256x212 | 640x200 | 640x400 |
色数 | 16色 | 8色 | 16色 |
音源 | PSG+FM | FM | |
動作速度 | やや遅い | 標準 | 速い |
MSX版は、グラフィックの解像度は低いものの、16色表示と豊かな音楽表現により、独自の魅力を持っています。また、MSXturboRの高速モードに対応しているため、後期のMSX機では快適なプレイが可能です。
ソーサリアン MSX版は、発売から35年以上が経過した今でも、多くのファンに愛され続けています。その理由として以下のような点が挙げられます:
ソーサリアン35周年記念記事。現代でも楽しめる理由が詳しく解説されている
現在では、プロジェクトEGGなどのレトロゲーム配信サービスや、メガドライブミニ2などの復刻ハードウェアでプレイすることができ、新たな世代のゲームファンにも親しまれています。
ソーサリアン MSX版は、単にPC版の移植にとどまらず、MSXというプラットフォームに大きな影響を与えました。
日本ファルコム公式サイトの歴史ページ。ソーサリアンの位置づけが分かる
これらの影響は、MSXというプラットフォームの歴史だけでなく、日本のゲーム産業全体の発展にも寄与したと言えるでしょう。ソーサリアン MSX版は、技術的な挑戦と創造性の結晶として、今もなお多くのゲームファンや開発者に影響を与え続けています。