

マルチプラットフォーム展開とは、同じタイトルのゲームを複数のハードウェアでプレイできるようにリリースすることを指しています。具体的には、Nintendo SwitchとchとPlayStation 5、Xbox Series X|S、PCなど、異なるゲーム機やOSで同じゲームを遊べる状態のことなんです
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この手法は「マルチタイトル」や「マルチ展開」とも呼ばれることがあります。過去のゲーム業界では、OSごとに別々の開発を進める必要があり、膨大な工数や開発費がかかっていました。しかし近年では、異なるOS間でも同一のプログラムで動作させられる開発ツールが登場したことで、マルチプラットフォーム展開がしやすくなっているんですよ。
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参考:ゲームリリース時の「マルチプラットフォーム」とは?詳しく説明!
開発手法としては、1つのソースコードを各プラットフォームに対してコンパイルする方法や、仮想マシンを利用してソフトウェアを実行する方法などがあります。これにより、Windows、macOS、iOSやAndroidなど、さまざまなプラットフォーム上で同じゲーム体験を提供できるようになりました。
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クロスプラットフォームは、マルチプラットフォーム展開されているゲームにおいて、ハードごとにユーザーがバラバラになっても、オンラインプレイでは一緒に遊べる機能のことを指します。これは「クロスプレイ」とも呼ばれ、異なるプラットフォーム同士でオンライン上で対戦や協力プレイができる仕組みなんです。
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例えば、PlayStation 5でプレイしている人とNintendo Switchでプレイしている人、PCでプレイしている人が、同じゲームサーバーにアクセスして一緒にマルチプレイを楽しめるわけです。マインクラフトやApex Legends、フォートナイトなどの人気タイトルがクロスプレイに対応していますよ。
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クロスプラットフォームを実現するには、「連携アカウント」が必要になります。プレイヤーは自分のアカウントを複数のデバイスで共有することで、利用シーンに合わせてデバイスを変更しながら続きをプレイできるんです。部屋では画面の大きいゲーム機で遊び、外出時はスマートフォンでプレイするといった柔軟なプレイスタイルが実現できます。
マルチプラットフォーム展開の最大のメリットは、さまざまなハードウェアのユーザーに遊んでもらえるようになることです。特定のハードだけに対応している場合、そのハードを持っていない人は遊べませんが、マルチ展開することで潜在的なユーザー層を大幅に拡大できます。
開発側にとっても、工数や制作費をあまり増やさずに販売チャンスを増やせるという利点があります。複数のハードウェアでプレイできる環境を作ることで、販売リスクを減らすことにもつながるんです。特定のハードの人気が低下した場合でも、他のプラットフォームでユーザーを確保できますからね。
デメリットとして挙げられるのは、ハードの性能差が原因で同クオリティのものを提供することが難しいケースがあることです。基本的には最も性能が低いハードウェアに合わせることになるため、最新ハードのスペックを活かしきれない場合があります。
参考:多プラットフォーム展開のメリット・デメリット
また、ハードの性能差があまりに大きいと、それぞれに最適化した内容に調整する必要があり、結果的に工数や制作費がかさんでしまうこともあるんです。2017年リリースの「ドラゴンクエスト11」では、PlayStation 4とニンテンドー3DSで明確にビジュアルが異なる仕様となり、膨大な開発工数がかかったとされています。
クロスプラットフォームの最大のメリットは、異なるハードウェアを持つ友人や家族と一緒に遊べることです。PlayStation を持っている人とNintendo Switchを持っている人が、同じゲームで協力プレイや対戦を楽しめるのは大きな魅力ですよ。
ゲームタイトルのプレイ人口が増加することも重要な利点です。プラットフォームの壁を越えてプレイヤーが集まることで、マッチングが成立しやすくなり、オンラインゲームの体験がより充実したものになります。ひとつのゲームを通じて年齢・性別・職業などを問わず世界中のプレイヤーと交流できることも、クロスプラットフォームならではの醍醐味なんです。
参考)https://esports.bcnretail.com/column-interview/commentary/230321_001015.html
しかしデメリットとして、入力デバイスの差異による公平性の問題があります。例えば、マウスとキーボードを使うPCプレイヤーと、コントローラーを使うコンシューマー機プレイヤーでは、操作性に大きな違いが生まれる場合があります。このため、スマートフォンデバイス以外のゲーム専用機間でのクロスプラットフォームが一般的になっているんです。
また、クロスプラットフォームに対応していないマルチプラットフォーム展開のゲームの場合、各ハードでユーザーが分散してしまい、オンラインゲームのマッチングが成立しにくくなるという問題も発生します。
両者の違いをわかりやすく整理すると、以下のような特徴があります。
| 項目 | マルチプラットフォーム | クロスプラットフォーム |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 同じゲームを複数のハードで発売すること | 異なるハード間で一緒にオンラインプレイできる機能 |
| 別名 | マルチタイトル、マルチ展開 | クロスプレイ |
| 主な目的 | より多くのユーザーにゲームを届ける | 異なるハードのユーザー同士を繋げる |
| 必要な条件 | 各プラットフォーム向けの開発 | 連携アカウントとサーバー環境 |
| プレイヤーのメリット | 自分の持つハードでプレイ可能 | 友人と異なるハードでも一緒に遊べる |
| 開発側の課題 | ハード性能差への対応 | 入力デバイスの公平性調整 |
マルチプラットフォーム展開をしていても、必ずしもクロスプラットフォームに対応しているわけではない点が重要です。例えば、PlayStation 4とNintendo Switchの両方で発売されているゲームでも、PS4ユーザーはPS4ユーザー同士、Switchユーザーは同じSwitch同士でしかオンラインプレイができないケースも多いんですよ。
参考:クロスプラットフォームとは/ゲームとスマホ『マルチプラットフォーム展開』との違い
ゲーム業界でのマルチプラットフォーム開発には、主に2つのアプローチがあります。1つ目は、1つのソースコードを書き、それを複数のプラットフォームに対してコンパイル(他の言語に変換)する方法です。WindowsとmacOS、iOSとAndroidなど、各プラットフォームに対応したゲームやアプリを開発する際によく使用されているんです。
2つ目は、各プラットフォーム上に実装された仮想マシンやランタイム環境上でソフトウェアを実行する方法です。代表的なものがJava言語による開発で、Java Virtual Machine上で実行されることで、Windows、macOS、Linuxなどの異なるプラットフォーム上で同じコードが動作します。
Unityなどのゲーム開発エンジンは、複数のプラットフォームでのビルドを自動的にトリガーすることを可能にしています。Unity Build Automationを使えば、クラウド内で複数のプラットフォーム用のビルドを自動化できるため、手動で再構築する手間が省けるんです。
参考)マルチプラットフォームゲーム開発を最大化|Unity
最新の動向としては、2025年にはSwitch 2とSwitchの間でクロスプレイ対応するタイトルが増えています。「スプラトゥーン3」は2025年6月12日のアップデートで正式対応し、Switch 2では4K画質で楽しめるようになりました。「マリオカート8 デラックス」も完全対応しており、最大12人まで同時レースが可能です。
参考)【2025年最新版】Switch2×Switchクロスプレイ…
マルチプラットフォーム展開が一般化したことで、ゲーム業界の戦略も大きく変化しています。多様化した現在では、「PCを持たない」「テレビがない」「ゲーム機がない」「スマートフォンだけ所持」といった利用シーンが増えているんです。
所持率の高いスマートフォンを活用した戦略も注目されています。ゲーム機専用ソフトのプロモーション目的でスマホ版の「簡易版」を展開する企業もあれば、スマートフォンアプリでブランド認知を進めた後、ゲーム専用機で「eスポーツ」に参画する企業も出てきました。
市場にマルチ展開することで、同一IPへの接触頻度が高められ、得られる相乗効果も過去のマルチメディア展開の比ではありません。デバイスの連携によって得られるユーザー体験は、従来のゲーム体験とは全く異なる新しい価値を生み出しているんですよ。
一方で、業界全体への影響として、最新ハードを購入する意味が薄れ、新型ハードへのユーザーの移行が遅くなるという懸念もあります。複数のハードでプレイできる環境が整っていると、ユーザーが最新ハードを購入する意欲を低下させる可能性があるんです。ソフトウェアとハードウェアは相互に発展を助け合う性質があるため、ハードの発展が遅れればゲーム業界自体が停滞するリスクが指摘されています。
ゲームを選ぶ際には、自分のプレイスタイルと所持しているハードウェアを考慮することが重要です。ソロプレイが中心なら、マルチプラットフォーム展開されているかどうかを確認すれば十分でしょう。
しかし、友人や家族とオンラインで一緒に遊びたい場合は、クロスプラットフォーム(クロスプレイ)に対応しているかどうかが決定的に重要になります。同じタイトルで異なるプラットフォームから発売されていても、クロスプレイには対応していないものも多いため注意が必要なんです。
参考:クロスプレイとは?異なるプラットフォームでもオンラインで遊べる機能
購入前には、公式サイトやゲーム販売ページで対応プラットフォームとクロスプレイの可否を必ず確認しましょう。Nintendo Switchの公式オンラインストアでは、「クロスプラットフォームプレイ対応」のタグで検索できるようになっています。
参考)https://store-jp.nintendo.com/list/tag/0067/
また、ハードの性能差にも注目してください。例えば、PlayStation 5とNintendo Switchでは処理能力に大きな差があるため、同じタイトルでもグラフィックの質やフレームレートが異なる場合があります。高画質でプレイしたいなら高性能ハードを、携帯性を重視するなら携帯可能なハードを選ぶといった判断が必要になりますよ。
将来的な拡張性も考慮に入れると良いでしょう。連携アカウント機能があれば、後から別のプラットフォームでもプレイを継続できる可能性があります。長く遊びたいゲームほど、こうした柔軟性は重要になってきます。