視覚障害者生活困ることゲームプレイ支援と工夫

視覚障害者生活困ることゲームプレイ支援と工夫

視覚障害者がゲームをプレイする際に直面する日常的な課題と、それを乗り越えるための実践的な支援方法や独自の工夫を詳しく紹介します。音声やアクセシビリティ機能を活用した具体的な対策を知りたくありませんか?

視覚障害者生活困ることゲーム

 

視覚障害者がゲームで直面する主な課題

🎮

画面情報の把握困難

 

地図やHPゲージなど視覚的な情報を音声だけで理解するのが難しい

🗺️

3D空間での位置把握

 

カメラが回転する3Dゲームでは自分の位置や進行方向を認識しにくい

🔊

音声読み上げの精度

 

OCR機能で文字認識しても読み順や誤認識で正確な情報が得られない

 

 

視覚障害者がゲームプレイで困る具体的な場面


見えない目撃者

 

視覚障害者がゲームをプレイする際、最も困難なのが画面上の視覚情報を音声だけで把握することなんです。イギリスの視覚障害者団体RNIBの調査によると、視覚障害者のゲームプレイヤーのうち70%がプレイに支障があるとされていますよ。驚くべきことに、視覚障害者と晴眼者でゲームを遊びたい欲求の度合いは変わらないというデータもあるんです。
参考)視覚障害者はどうやってゲームをするのか — 「ポケモン」は泣…

 

ゲーム内の地図やミニマップは、晴眼者には一目で分かる情報でも、OCR(文字認識)ソフトでは読み取れません。例えば『ポケットモンスター』では、村から東へ進む際にS字状の道を通る必要がありますが、視覚障害者は一歩進んでは上ボタンを押して進めるか確認し、壁に当たったら別の方向を試すという作業を繰り返さなければならないんです。この作業だけで30分以上かかることも珍しくありません。
戦闘画面での情報把握も大きな課題ですよ。HPゲージや技の残り回数、選択中のコマンドなどの視覚情報が音声で正確に伝わらず、OCRで読み上げさせても「いまひとつ」が「いまひとっ」、「ムクバード」が「ムワバード」のように誤認識されることが頻繁にあります。そのため、かなりの「お察し能力」が必要になるんです。

視覚障害者の生活で役立つゲームアクセシビリティ機能

最近のゲーム機やソフトには、視覚障害者の生活を支援する優れたアクセシビリティ機能が搭載されるようになってきました。特にPS5では画面の文字をすべて読み上げ、メニュー選択の方法まで音声で指示してくれる機能が標準搭載されています。これにより、ゲームを起動するまでの操作が全盲の方でもスムーズに行えるようになったんですよ。
『The Last of Us Part II』は、視覚をまったく使わずに完全にプレイできる数少ないタイトルとして知られています。このゲームでは、敵の位置や方向を音で伝えたり、重要なオブジェクトに特定の音を設定したりする工夫が施されているんです。また『Forza Motorsport』(2023)では「ブラインドドライビングアシスト」という新的な機能が導入され、オーディオキュー(音で正しいコース位置を伝える)、自動減速、自動ステアリング介入の3要素を組み合わせることで、視覚に頼らずレースを楽しめるようになりました。
参考)インクルーシブなWeb体験へ – 最先端ゲームに学ぶアクセシ…

 

日本語でプレイできる音声ゲームアプリも増えています。例えば「音戦宅球」は、音を頼りに飛んでくるボールを打ち返すスポーツゲームで、ボタンはすべてVoiceOverで読み上げられ、試合中の動作もきれいな日本語の合成音声で案内してくれます。ただしゲーム中のコントロールは反応が遅れることがあるため、VoiceOverを切って画面の特定位置をタップする方が遊びやすいという意見もありますよ。
参考)視覚障害者でもできるスマホゲームはありますか

 

参考リンク:PlayStation®5 | アクセシビリティ機能の詳細が掲載されているソニー公式サイト
PlayStation 5 アクセシビリティ

視覚障害者向けボードゲームの工夫と遊び方

デジタルゲームだけでなく、視覚障害者が楽しめるボードゲームも数多く存在します。触覚や聴覚を活用することで、視覚に頼らずとも十分に楽しめる設計がなされているんですよ。
参考)視覚障害者でも楽しめる!おすすめのボードゲームなどを紹介

 

「グラマ」は重さの感覚とコミュニケーションだけで楽しむ協力型ボードゲームです。4人のプレイヤーがそれぞれ異なる重さの巾着袋を受け取り、お題に沿って自分の袋の重さを言葉で表現します。全員の袋を同じ重さに調整することを目指すこのゲームでは、成功か失敗かを天秤が崩れる音で判断するため、視覚障害者も晴眼者も同じ体験をリアルタイムで共有できるんです。
参考)グラマ:視覚障がい者も楽しめる協力型のインクルーシブボードゲ…

 

「フォーセンシズ」は、アイマスクを装着した状態で手探りによってプレイするパズルゲームですよ。ボードには16個のくぼみがあり、穴が空いているものや高さが異なるコマを触って識別しながら、同じ種類のコマを縦・横・ナナメに揃えます。このゲームはシンプルなルールで子供から大人まで楽しめ、目隠しをしない状態でもプレイできる設計になっています。
ジェンガも工夫次第で視覚障害者と一緒に楽しめます。通常ルールでは片手でブロックを抜いて置く必要がありますが、視覚障害者向けには「両手を使ってブロックの状況を確認し、抜いてもよい」「抜いた後は他のプレイヤーが順番に一番上に置く」というルールを適用することで、見えない分の不利を補えるんです。このような特別ルールにより、視覚障害者と晴眼者のハンディが軽減され、公平に遊ぶことができますよ。
参考)見えない人(視覚障害者)と一緒に遊ぶ〜ジェンガ編〜 - 一般…

 

参考リンク:視覚障害者も楽しめるボードゲーム「グラマ」の詳細
グラマ - 知財図鑑

視覚障害者がゲーム操作で工夫している独自の方法

視覚障害者は日々の生活の中で、ゲームをプレイするために独自の工夫を凝らしています。例えばNintendo Switchのゲームをプレイする際は、本体をドックに挿し、HDMIケーブルでキャプチャーボードを介してパソコンへ接続し、OBS Studioの「全画面プロジェクター」機能で画面を映してNVDAで読み上げさせるという複雑なセットアップが必要なんです。
『ポケットモンスター』では、ポケモンを入れ替える際に「つよさをみる」を選び、ポケモンの鳴き声で種類を判別するという驚くべき方法を使っています。自分の持っているポケモンの鳴き声はすべて暗記しているというから驚きですよ。また障害物に当たると「ボヨン」という効果音が出るため、その合図で「これより先に行けない」ことを判断できます。
『戦国無双4-II』のようなアクションゲームでは、ヘッドホンをつけて音が鳴る方向を判断し、とにかくボタンを連打するという戦略が有効です。NPCキャラが自動で敵のいる場所へ向かって敵を倒してくれるため、ある程度プレイしてからコントロールするキャラをスイッチすれば、地図がわからなくても標的に近づくことができるんです。HPが少なくなって瀕死になると効果音がすべて籠もった音になるため、そこでキャラを切り替えるタイミングを判断しますよ。
ゲーム内で流れるBGMも重要な手がかりとなります。建物に入った際に外観が見えなくても、BGMの変化によってどこにいるのかを判断できるんです。また攻略サイトで次にすべきことの手順を事前に確認し、ボタン操作を暗記しておくことで、メニュー画面の操作もスムーズに行えるようになります。

視覚障害者の生活を変えるゲームの音響設計とUI改善

視覚障害者がゲームを楽しむためには、音響設計とUIの工夫が極めて重要なんです。音によるフィードバックを増やすことと、操作対象の位置を明瞭にすることが、アクセシビリティ向上のための2大ポイントとされています。
参考)https://www.interaction-ipsj.org/proceedings/2023/data/pdf/3A-11.pdf

 

ゲームの音響設計では、位置がよく分かるオーディオキューに精度の高いコンボリューションリバーブ、減衰曲線、空間情報などを適用することで、視覚障害者はゲームの中を動き回りやすくなります。特にソナー探知的なパルス音が最も効果的なナビゲーションツールであることが分かっているんですよ。ダイナミックミュージックを使用してゲームの状況やストーリーをプレイヤーに伝えることもでき、音楽スティンガーや警告がプレイヤーのナビゲーションに役立つことも実証されています。
参考)インタラクティブゲームと目の不自由な方のためのアクセシビリテ…

 

UI設計においては、テキストの読み上げ機能、3D効果音機能、全てのUIの再設計、配色、UI倍率の最大値の引き上げ、効果音のカスタマイズ、ジェスチャ機能などが視覚障害者向けの重要な機能として挙げられます。実際に晴眼者が画面を見ずにテストプレイを行い、ソロでの討伐を想定していた中ボスを音だけを頼りにソロで撃破できたという事例もあるんです。
参考)ゲームアクセシビリティの取り組みについて #Unity - …

 

複雑なビジュアルインターフェース(地図サービス、データ可視化など)でも、複数の感覚を活用したフィードバック(音声、振動など)により視覚に依存しない操作が可能になります。音による案内と自動的なナビゲーション補助(フォーカス移動の支援など)を組み合わせることで、視覚障害者も複雑なコンテンツを直感的に「移動」し、理解できるようになるんですよ。
視覚障害者向けアクセシブルゲーム情報まとめWikiでは、視覚情報を全く用いずゲームをプレイする場合、操作時の効果音・音声演出・音楽、コントローラーの振動を頼りにゲーム画面の状況を想定したプレイが可能だと説明されています。こうした情報共有の場が、視覚障害者のゲームライフを支える重要な役割を果たしているんです。
参考)FrontPage - 視覚障害者向け アクセシブルゲーム …

 

参考リンク:視覚障害者向けアクセシブルゲームの総合情報
視覚障害者向けアクセシブルゲーム情報まとめWiki
参考リンク:ゲームの音響設計とアクセシビリティの関係を解説
Audiokinetic - 視覚障害者のためのアクセシビリティ

視覚障害者がゲームコミュニティで困ることと支援の実態

視覚障害者がゲームコミュニティに参加する際には、情報収集や他のプレイヤーとのコミュニケーションで困難に直面することが多いんです。ゲームの攻略情報は主に動画やスクリーンショットで共有されることが多く、これらの視覚的コンテンツは音声読み上げソフトでは理解できません。そのため、テキストベースの攻略情報を見つけるまでに時間がかかったり、そもそも情報にアクセスできないケースもありますよ。
参考)https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/3613904.3642804

 

オンライン対戦やマルチプレイでは、チャットでのコミュニケーションが重要になりますが、戦闘中にテキストチャットを読み上げさせる時間的余裕がないことも課題です。ボイスチャット機能があるゲームでは比較的参加しやすいものの、視覚情報を前提とした指示(「あそこに敵がいる」など)が飛び交うと、状況把握が難しくなります。
ゲームの発見と評価も大きな問題なんです。視覚障害者向けのゲームデータベースやレビューサイトは限られており、どのゲームがアクセシブルか、どんな障壁があるかを事前に知ることが困難です。購入してから「遊べない」と分かるケースも少なくなく、これが経済的・精神的な負担になっているんですよ。
こうした課題に対して、視覚障害者コミュニティでは独自の支援ネットワークが形成されています。「Board Game in the Dark」のような視覚障害者とのボードゲームユニットが活動し、視覚障害者向けのゲームレビューや遊び方の情報を共有しているんです。また視覚障害者同士で「このゲームは遊べる」という情報を口コミで伝え合い、プレイ方法のコツを教え合っています。
参考)全盲ですが趣味はゲームです

 

最近では障害者と支援者が協力してゲームを楽しむ取り組みも広がっています。支援者が画面の状況を音声で実況したり、視覚障害者が操作しやすいようにゲーム設定をサポートしたりすることで、より多くのゲームが楽しめるようになっているんですよ。こうした共創的なアプローチが、視覚障害者のゲームアクセスを改善する鍵となっています。
参考)ゲームのアクセシビリティから共創する社会へ –障害者×支援者…

 

参考リンク:視覚障害者のゲーム体験を詳しく紹介した記事
電ファミニコゲーマー - 視覚障害者はどうやってゲームをするのか
参考リンク:視覚障害者と一緒に遊べるゲーム情報
Spotlite - 視覚障害者でも楽しめるゲーム

指と耳で見る、目と手で聞く: 視覚障害・聴覚障害のある人の暮らす世界 (なるにはBOOKS別巻)