

Bluetooth 5.3と5.4の違いは、体感しやすい「最大速度・最大距離」の上限が激変するというより、通信の制御や運用(特に省電力、混雑耐性、IoTの配布設計)に現れます。
まず大前提として、Bluetoothの“バージョン表記”は「その機器が仕様書の全機能を必ず搭載している」ことを意味しません。
たとえばスマホやイヤホンは5.4対応でも、PAwRなどIoT向け機能は製品の狙い次第で省かれることがあります(対応機能の表記確認が重要です)。
表で“ざっくり”整理すると次のイメージです(※実際の実装は製品仕様に依存)。
参考)ブルートゥース® 機能を伝える|ブルートゥース® テクノロジ…
| 観点 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.4 |
|---|---|---|
| 狙い | LE/BR/EDRの運用効率・省電力・体験改善 | コネクションレス双方向・大規模IoT・広告のセキュア化 |
| 代表的な追加/強化 | Periodic Advertisingの受信最適化(ADI)など | PAwR、暗号化アドバタイズデータ |
| 読者が得しやすい場面 | 混雑環境での“地味な無駄”削減・電池持ちの改善 | 電子棚札/センサー群など「多数ノード」を扱う設計 |
Bluetooth 5.3は、特にBluetooth Low Energy(LE)の“受信側の無駄”を減らす方向の改善がまとまっているのが特徴です。
代表例が「Periodic Advertising(定期アドバタイズ)」周りで、5.3ではAUX_SYNC_INDにAdvDataInfo(ADI)を含められるようになり、受信側コントローラが「同じ(または等価な)再送データ」を見分けて、ホストへ渡す前に捨てられる可能性が増えます。
これにより、ホスト側が“重複データのたびに起きる”状況が減り、結果として省電力につながります(特にビーコンやブロードキャスト系の設計で効きやすいです)。
もう一つの重要な方向性が、低消費電力の接続から高帯域が必要な場面に切り替える時間を短縮する「Enhanced Connection Update / connection subrating」系の改善です。
参考)https://www.bluetooth.com/wp-content/uploads/2021/01/Bluetooth_5.3_Feature_Enhancements_Update.pdf
低頻度でつないで普段は電池を節約し、必要な瞬間だけ通信を“太く”する、という動きがしやすくなり、音声や入力デバイス等のユーザー体験改善にもつながり得ます。
「最大スペックが同じでも体感が良くなる」タイプの差なので、スペック表だけ眺めると見落としやすいのがポイントです。
Bluetooth 5.4の目玉は、Periodic Advertising with Responses(PAwR)と、暗号化アドバタイズデータです。
PAwRは、これまで基本的に「送信(広告)→受信」の一方通行になりがちだった枠組みを拡張し、コネクションレスのまま双方向のやり取りをしやすくします。
Bluetooth SIGの説明では、PAwRと暗号化アドバタイズデータを組み合わせることで、スター型トポロジーで多数の超低消費電力エンドノードと、双方向かつセキュアに通信できる、とされています。
ここでの実務的なポイントは「接続(コネクション)を張ると重い」場面への効き方です。
参考)Bluetooth 5.3 vs. Bluetooth 5.…
例えば電子棚札、センサーの群管理、タグの一括更新のように、台数が増えるほど“接続管理コスト”が効いてくる設計では、PAwRが効く余地があります。
参考)【解説】Bluetooth v5.4がリリース。新機能追加で…
逆に、スマホとイヤホンのような1対1のオーディオ用途では、5.4の価値が“直接”効くとは限らず、製品の実装や周辺(SoC/アンテナ/ファーム)次第で差が出ます。
Bluetooth 5.4の「暗号化アドバタイズデータ」は、ビーコンやブロードキャストの“中身を守る”設計に影響します。
従来もアドバタイズデータを独自方式で暗号化する実装はありましたが、標準側の仕組みが整うと、実装の共通化や相互運用の考え方が変わりやすくなります。
とくにPAwRで「応答」まで含めて運用する場合、データの機密性・なりすまし耐性をどう置くかが重要になり、標準機能の存在が設計判断をシンプルにします。
一方で、ここも“バージョン表記だけで安心しない”のが大事です。
暗号化アドバタイズが製品で有効化されているか、鍵管理をどこで持つか、運用(例:鍵ローテーション、初期プロビジョニング)をどうするかは、仕様に加えて実装と運用設計の領域です。
「5.4だから安全」という単純な話ではなく、「5.4で標準部品が増えたので、正しく作れる余地が増えた」と捉えるのが現実的です。
検索上位の記事は「どっちが新しいか」「速度や距離は?」に寄りがちですが、現場での落とし穴は“バージョン=フル装備”と誤解して調達することです。
Bluetooth SIG自身も、サポート機能の伝え方(どの機能をサポートしているかの明確なコミュニケーション)を案内しており、製品側が「何をサポートしているか」を確認する姿勢が重要になります。
実務でのチェック手順(イヤホン購入ではなく、開発・調達目線の手順)は次の通りです。
意外に見落とされがちなのは、「コア仕様の差」より「製品の省電力実装や電波設計、混雑環境でのチューニング」が体感を左右する点です。
参考)Bluetooth5.3と5.4の違いと選び方
つまり記事の狙いワード通り“違い”を押さえた上で、最後は「その違いが自分の用途で発火するか」を見極めるのが、無駄な買い替えや過剰スペック回避につながります。
参考:Bluetooth 5.4のPAwRと暗号化アドバタイズの概要(何が追加されたかの公式説明)
Bluetooth SIG:ブルートゥース® Core 5.4の新機能:概要
参考:Bluetooth 5.3の変更点(Periodic AdvertisingのADI、connection subrating等の要点がまとまった資料)
Bluetooth SIG:Bluetooth® Core 5.3 Feature Enhancements(PDF)

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