

Office を選ぶうえで、実務的に一番わかりやすい差は「いつまで安全に使えるか」です。Microsoft のライフサイクル情報では、Office 2021 のメインストリーム サポート終了日は 2026年10月13日、Office 2024 は 2029年10月9日と明示されています。買い切り版でも更新プログラム(特にセキュリティ更新)が提供される期間が違うので、同じ“永続ライセンス”でも運用可能な年数が変わります。
参考:Microsoft公式(Office 2021/2024 のサポート期限が一覧で確認できる)
サポートが切れた Office は、動くこと自体は多い一方で、脆弱性修正が来ない状態になります。Microsoft はサポート終了後、セキュリティ更新プログラムや重要な更新を含むサポートが受けられなくなる旨と、感染・情報漏えい等のリスクを説明しています。つまり、社内PCや個人PCで「Office 2021 をあと何年使い倒すか」は、単に費用の話ではなく、保守とリスク管理の話になります。
ここが意外に盲点になりがちなのは、ファイル共有やメール添付が日常の職場ほど、攻撃面が増える点です。Office は文書の閲覧・編集に見える一方、外部から入ってくるファイル(docx/xlsx/pptx)を日々開くアプリでもあります。だから「OSは最新だけど Office は古い」構成は、更新の穴が残る設計になりがちです。サポート期限を基点に、PC更改やMicrosoft 365への移行時期まで含めて設計すると、後からの説明コストも下がります。
導入前チェックで確実に押さえたいのが OS 要件です。Microsoft の案内では、永続版を Windows PC で使う場合の OS は「Windows 10 または 11 が必須条件」と説明されています。実際の現場では、Windows 10 の延命(ハードが古い/業務アプリの都合)と、Office の更新計画がぶつかることがよくあります。
さらに、Office 2024 と Office LTSC 2024 の FAQ では、Office 2024 は 32/64ビットの Windows をサポートし、Mac は引き続き 64ビットのみであることが示されています。これにより、古いアドインや周辺ツール、特に「32ビット Office 前提」の資産がある環境だと、2024移行時に再検証が必要になります。Excel の外部連携ツール、会計ソフトの出力、PDF連携、メール連携など、Office は周辺に依存されることが多いので、OSとビット数は“地味だが一番高くつく”差分になりがちです。
参考:Microsoft公式(Office 2024/LTSC 2024 FAQ:対応ビット数・Macは64bit等)
もう一つ、見落としやすいのが「OSアップデートの将来」です。Office 2021 を採用している環境で、今後 macOS や Windows の大きな更新を控えている場合、Office 側のサポート期限より先に“動作保証の気持ち悪さ”が先に来ることがあります。公式に「必須」や「サポート対象」と書かれている条件と、実際の現場の“安定稼働”の距離はゼロではありません。だからこそ、Office 2024 は単なる新しさではなく、今後のOS更新に乗せやすい保険として効いてきます。
機能面の違いは「2024で突然すごいAIが全部入る」というより、Microsoft 365で近年積み上がった改善の一部が、買い切り版に“世代として”取り込まれるイメージです。Microsoft は Office 2024/LTSC 2024 for Mac について、過去3年間に Microsoft 365 アプリに追加された機能の“長いリストのサブセット”のみが含まれる、と説明しています。つまり、2024 でも 365 と完全に同一ではない一方で、2021よりは新しい改善が入っている可能性が高い、という捉え方が実務的です。
意外な観点として、機能差は“できること”より“共通化しやすさ”に効きます。たとえば社内で 2021 と 2024 が混在すると、テンプレート、操作手順書、問い合わせ対応が二重になります。特定機能(例:Excelの新関数やUI変更)を前提に資料を作ると、古い版のユーザーが詰まります。だから、2024の新機能を評価するときは「新機能が欲しい人がいるか」だけでなく、「混在コストを許容できるか」もセットで見るのが、IT担当・情シス観点では効きます。
Office 2021/2024 は基本的に“買い切り(永続ライセンス)”で、Microsoft 365 は“サブスクリプション”という整理になります。永続版は初期費用が発生する一方、基本的に同一メジャーバージョンの範囲で使い続けられ、サブスクは支払いを続ける代わりに常に最新機能へ寄っていきます。ここで重要なのは「永続だからトータルが必ず安い」とは言い切れない点です。
なぜなら、永続版はサポート期限が来たら“次の版を買い直す”か“Microsoft 365へ移る”かの判断が必要になるからです。Microsoft のサポート期限情報を見ると、Office 2021 は 2026年、Office 2024 は 2029年で区切られており、差は約3年です。この差は、PC更改サイクル(3〜5年)とぶつかりやすいので、2021 を今導入すると「次の更改で Office も更新」がほぼ確定しやすく、2024 を選ぶと “更改1回分”を飲み込みやすい、という読みになります。
参考:Microsoft公式(Office 2021/2024 の開始日・終了日で更改計画を作れる)
もう一歩踏み込むなら、ライセンスの“移管”や“端末入れ替え”のしやすさも、実際の運用コストに効きます。永続版は「同一ユーザーが使う合計2台まで」など条件が絡むケースがあり、PC入れ替え時に認証・再インストールが発生しやすいです(手順自体は難しくなくても、台数が増えると問い合わせが増えます)。このとき、情シス側の運用が“薄い”組織ほど、サブスクの一元管理のメリットが相対的に増えることがあります。
検索上位は「新機能・価格・サポート期限」でまとまりがちですが、現場で痛いのは“移行の失敗パターン”です。まず多いのが「買い切り版のつもりで導入したのに、共同編集やクラウド前提の運用が進んでいて、結局 Microsoft 365 の方が合っていた」ケースです。Office 単体の差分というより、OneDrive/SharePoint、Teams、運用ルール(ファイルの置き場・版管理・権限)と結びついて、体験が決まってしまいます。
次に、地味に効くのが「テンプレートとマクロの棚卸し不足」です。Office は周辺資産の塊で、部署ごとにExcelの“業務台帳”が存在し、そこにマクロ・外部参照・アドインが絡みます。Office 2024 は新しいから安心、ではなく「新しい環境で動かないものが顕在化する」ことがあります。だから移行時は、(1) 重要ファイルの洗い出し、(2) 検証用PCでの再現、(3) 代替手段の用意、の3点が現実解です。
最後に意外なポイントとして、「サポート期限が長い版を選んだのに、OS更改や社内セキュリティ基準で先に使えなくなる」ことがあります。Microsoft はサポート終了後に更新プログラムの提供がなくなるリスクを説明していますが、逆に言うと“更新が提供される状態を維持できるか”が運用条件になります。たとえば更新ポリシーが厳しい組織だと、Officeの更新適用が遅れて、サポートを受ける前提を満たさない運用になることがあります。サポート期限は長くても、更新運用が弱いと価値が薄れるので、「更新を回せる体制」まで含めて、2024/2021/365 を選ぶのがIT的に失敗しにくいです。

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