

NVMeとSATAの「違い」でまず話題になるのが速度ですが、重要なのは“ベンチの数字”と“体感”を分けて考えることです。Logitecの解説では、SATA接続SSDの転送速度はおおむね600MB/s程度で、PCIe(NVMe)接続のM.2 SSDは製品によって最大7000MB/s級もあり得る、とされています。つまりカタログ上は「10倍以上」になり得ますが、常に10倍速く感じるわけではありません。
体感差が出やすいのは、巨大ファイルのコピー、動画編集の素材読み込み、仮想マシンのディスクI/Oなど「連続読み書き」や「同時アクセス」が多い作業です。LogitecはNVMeがサーバー用途など多数のディスクI/O同時処理で高速化しやすい点を挙げており、PCでもI/Oが詰まる作業ほど差が見えやすいと言えます。逆にWeb閲覧や事務作業中心だと、CPUやメモリ、ネット回線がボトルネックになり、NVMeの“上限”が活きにくい場面もあります。
ここで意外と見落とされがちなのが、「速度の速いSSDほど常に速い」と思い込みやすい点です。現実には、SSD内部の処理(書き込みの整列やキャッシュ制御など)や温度、空き容量の状態で速度が上下します。特にNVMeはピーク性能が高い一方、条件次第で性能が揺れるため、“ピーク”ではなく“連続”の視点も持つと選定ミスが減ります。
「NVMe」「SATA」「M.2」「PCIe」が同列で語られて混乱するのは、これらが“別の層の言葉”だからです。Kingstonは、M.2はSSDのフォームファクタ(形状)であり、M.2 SSDにはSATAベースとNVMeベースの2種類がある、と明確に書いています。つまり「M.2=NVMe」ではなく、M.2の中に“NVMe版”と“SATA版”が共存します。
さらにLogitecは、NVMeはフラッシュストレージ向けに最適化された通信プロトコルであり、PCIeは接続規格だと説明しています。一方でSATAはHDDや光学ドライブなどを接続するための接続規格で、SATA接続のSSDは従来の通信プロトコルであるAHCIを使う文脈が多い、という整理になります。ここを分解すると、初心者がつまずく「名前が多すぎ問題」が一気にほどけます。
実務で役立つ覚え方としては、ざっくり次の3層で考えるのが安全です。
・形状:M.2(チューインガム形の基板)など(Kingstonの説明が分かりやすい)
・接続:SATAかPCIeか(LogitecはPCIeを接続規格と説明)
・通信:NVMeかAHCIか(LogitecはAHCIとNVMeの違いを説明)
購入や換装で一番痛いミスは「刺さると思ったのに動かない」です。Logitecは、SATAはNVMeとは異なる通信規格で動作するため互換性がない、と注意喚起しています。つまり、同じ“SSD”でも、SATAのつもりで買ったものをNVMe前提の環境に入れても、またその逆でも、期待どおりに動かない(認識しない)リスクがあります。
特にややこしいのが「M.2スロットがある=NVMeが使える」とは限らない点です。Logitecも、SATA接続のM.2 SSDだと実効転送速度が最大600MB/sほどになってしまう、と述べています。M.2という見た目だけで判断すると、速度面でも互換性面でも事故が起きやすいわけです。
チェックは次の2段階が確実です。
・マザーボード(またはノートPC)の仕様に「M.2(PCIe/NVMe対応)」と明記があるか
・M.2 SSD側の仕様に「NVMe(PCIe)」か「SATA」かが明記されているか
これを“両方”確認するだけで、換装トラブルの大半は回避できます。
参考:NVMe・PCIe・AHCI・SATAの用語整理と、互換性や発熱(サーマルスロットリング)まで一通りまとまっている
https://www.pro.logitec.co.jp/column/a20191129.html
速度の話だけで終わらないのがNVMeの難しさで、「速い代わりに熱い」という現実があります。Logitecは、NVMe採用SSDはSATA接続SSDより性能に優れる反面、発熱量や消費電力が増加する傾向にあると述べています。さらに、SSD温度が上がりすぎると、熱暴走回避のため読み書き速度を落とす「サーマルスロットリング」が働き、性能が低下する場合がある、と明記しています。
ここが意外なポイントで、NVMeのレビューで見かける「○○GB/s!」は“冷えている時の理想値”になりやすいことです。ファイルコピーやゲームのインストール、動画書き出しなど、連続で書き込みが続く作業では温度が上がりやすく、ピーク性能が維持できないケースがあります。結果として「NVMeにしたのに思ったほど速くない」という不満は、規格の優劣ではなく冷却設計の問題で起きることがあります。
対策として現実的なのは、ヒートシンクや放熱シート、ケース内エアフローの見直しです。Logitecも、PCIe(NVMe)接続のM.2 SSDの性能を引き出すにはヒートシンクなどの熱対策が重要、としています。速度比較記事では見落とされがちな“熱設計込みの性能”まで踏み込むと、NVMeとSATAの違いを実用目線で説明できます。
検索上位の多くは「NVMeは速い、SATAは安い」で終わりがちですが、現場で差が出るのは“設計の自由度”です。たとえばNVMeは高速化の余地が大きい分、発熱・消費電力・冷却スペースの設計が必要になり、同じNVMeでも実装(薄型ノート、デスクトップ、外付けケース)によって満足度が変わりやすいと考えられます。Logitecが指摘するサーマルスロットリングの存在は、まさに「規格の勝ち負け」ではなく「運用で逆転が起きる」根拠になります。
もう一つの独自視点は、「NVMeの速さを活かすには、周辺も速くないと意味が薄い」ことです。たとえば、バックアップ先がHDDやNASの低速回線なら、NVMeの読み出しが速くても転送全体は遅いままです。つまり“最速の部品”を入れるより、“遅いところを潰す”方が体感改善が大きい場面があります。
最後に、NVMeかSATAかで迷ったときの実務的な落としどころです。
・普段の用途が軽めで、互換性や安定性・低発熱を重視:SATA(特に換装用途)
・大容量データを頻繁に扱い、冷却や対応スロットも確保できる:NVMe(PCIe)
この判断基準は、Logitecが述べる「性能差」「発熱」「互換性の非互換」を全部セットで見る発想に近く、買ってから後悔しにくい選び方になります。

Western Digital ウエスタンデジタル WD BLACK M.2 SSD 内蔵 2TB NVMe PCIe Gen4 x4 (読取り最大 7300MB/s 書込み最大 6600MB/s) ゲーミング PC WDS200T2X0E-EC SN850X 【国内正規取扱代理店】