

USB Type-Aは、主にPCや充電器側(出力側)で長年使われてきた端子で、端子形状としては“昔からある四角いUSB”という理解で十分ですが、重要なのは「端子=充電性能ではない」という点です。
一方USB Type-Cは端子の表裏がなく挿しやすいだけでなく、給電のための信号線(CCライン)を使って、充電器が出せる電力と機器が欲しい電力を自動的にやり取りしやすい設計になっています。これにより、USB PD対応機器同士なら“つなぐだけで”適切な急速充電へ寄せられるのが大きな特徴です。
ただし「Type-C端子が付いている=USB PD対応」とは限らず、アクセサリーや機器仕様でPD対応かを確認する必要があります。
急速充電の会話で混乱しやすいのが、「端子の形(A/C)」と「充電規格(USB PDなど)」と「ケーブルの能力」が別物なことです。例えばType-C端子でも、機器側がUSB PDの交渉に対応していない場合、PD充電器と組み合わせたときに期待通りに充電できないケースがあり得ます。
参考:USB PDの基本(CCラインで自動交渉、Type-CでもPD対応とは限らない、3A/5Aケーブルの注意点)
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/usb_pd.html
USB PD(USB Power Delivery)はUSB-IFが策定する給電規格で、Type-Cで大きな電力を扱えるようにした仕組みです。最大100W(20V/5A)の説明が一般的で、近年の仕様では最大240Wまで拡張された、という整理で覚えると実務で迷いにくくなります。
ここでの“W数(ワット)”は、充電器だけで決まらず「充電器の供給能力」「受電側の要求」「ケーブルが許容する電流」の3点セットで上限が決まります。
よくある落とし穴は、充電器が100W対応でも、ケーブルが3A(最大60W想定)だと、結果として60W相当に抑えられてしまうことです。
つまり、ノートPCなどで「充電はできるけど遅い」「電源に接続中なのにバッテリーが増えない」などが起きたら、まず“ケーブルの上限”を疑うのが近道です。
参考:USB PDの概要、従来規格との電力差、3A/5Aケーブルの注意点(60W超はeMarker付き5Aケーブル推奨)
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/usb_pd.html
Type-Cケーブルには見た目が同じでも“中身の規格”が違うものが混在します。USB PDで重要になるのが、ケーブルが3Aまでなのか、5Aまでなのか、そしてeMarker(イーマーカー)というICチップが入っているかどうかです。
eMarkerにはケーブルの通電容量などの情報が入っており、接続機器がそれを読み取って安全な範囲に電力を制御します。結果として「機器も充電器も高出力対応なのに、ケーブルが3A表記のため3A以内に制限される」ことが起きます。
実務的な判断としては、スマホ中心なら3Aケーブルで困りにくい一方、60W超(例:ノートPCの高出力充電)を狙うなら5A対応かつeMarker搭載がほぼ必須、という覚え方が安全です。
またeMarkerは“速さのため”だけではなく、過大な電流を流さないための安全装置としての意味合いも大きいので、価格だけで選ぶと後からハマりやすいポイントです。
参考:eMarkerの役割(通電能力の申告、3A/5A制御、ボトルネックになり得る点)
第940回:eMarkerとは - ケータイ Watch
「Type-Cなのに充電できない」「A-Cでは充電できるのにC-Cだと不可」などの現象は、故障以外にも“仕様の組み合わせ”で説明できることがあります。理由の典型は、受電側がUSB PDの前提(交渉)にうまく乗れない、または機器側が想定する給電の形が限定的で、特定の組み合わせでしか給電を開始しないケースです。
Type-Cは本来、CCラインを使って安全に給電条件を決める設計ですが、実装が怪しい機器や、仕様が割り切られた機器だと「Type-C端子を付けただけ」で期待した互換性が出ないことがあります。
トラブル時の切り分けは、次の順が現実的です。
この手の問題は「端子の違い」ではなく「PDの交渉」「ケーブルの上限」「機器実装のクセ」の複合で起きるため、A/Cというラベルだけで判断しないのが結局いちばん早いです。
検索上位だと“規格の説明”で終わりがちですが、ITに関心がある人ほど刺さるのは、現場で再現性を出す運用ルールです。ケーブルは見た目がほぼ同じで、しかも消耗品なので「個人の記憶」運用だと100%破綻します。
そこでおすすめは、USB Type-Cケーブルを“電力クラス”で資産管理する発想です。
例えば、次のようにラベル(または色の熱収縮チューブ)を付けるだけで、充電トラブルの調査時間が一気に減ります。
この整理をすると、「高出力が必要な場面に3Aケーブルを持ち込んで詰む」「とりあえず挿して“遅い”と騒ぐ」などが減り、原因究明が“人”ではなく“物の仕様”に収束します。
さらに一歩踏み込むなら、eMarker情報を読めるチェッカーやUSBテスターを1つ用意して、怪しいケーブルを定期的に棚卸しすると、属人性の高い“充電できない問題”がチームから消えていきます。
参考:eMarkerが「3A/5A制限」や「ケーブルがボトルネック」になる仕組み(運用設計の根拠として有用)
第940回:eMarkerとは - ケータイ Watch

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